最近、経歴詐称の話題がTwitter界隈で話題になっていますが、実はみなさんが考えている以上に経歴詐称は身近なものです。
8割以上の就職活動者が「職を得る目的で嘘をついたことがある」というマサチューセッツ大学の調査結果もあります。
一般的な企業でいう経歴詐称は、学歴詐称と職歴詐称の大きく2つかと思います。
学歴詐称は、実際は大学を出ていないのに卒業と言ったり、留年したことをなかったりすることなどです。
職歴詐称は、役職や年収を偽ったり、すぐに辞めた会社を勤務していなかったことにしたり、或いは勤務したことがない会社に勤めていたと言ったりするようなことです。
今回はこの経歴詐称について見ていきましょう。
コンサル業界では経歴詐称はよくある
コンサル業界でも経歴詐称の話はよく聞きます。
某グローバルコンサルティングファームの友人に聞いたところ、経歴詐称をする人はよくいるようです。私の知っている人が経歴詐称をしていた、ということもありました。
例えば、前職の会社では新卒からずっと花形部署にいたと言っていた人が、蓋を開けると実は部署のローテーションで数か月いただけ、といったケースがありました。
また、ひどいケースでは、学歴はアメリカの超一流大学卒、前職はグローバルメーカーの花形部門という人が、実はそのアメリカの大学には交換留学しただけで本当は日本の中堅大学卒業、前職の会社では全く別の部署におり、肩書もデタラメでした。
その人は、クビになってからもまた経歴を詐称して別の会社で働いていたようです。
コンサルティング業界では、ちょっと提案活動に関わっただけの案件を自分がやったと語ったり、IT系や業務系のプロジェクトの経験しかないにも関わらず、ずっと戦略の案件を担当していたと言ったり、役職をアナリスト→コンサルタントなどにしたり…といったことは非常によくあります。
上記のように一部本当のことを盛って大きくするようなものは、見破られることが少ないですし、見破られたとしても許される場合が多いのではないでしょうか。
ただし、あからさまな場合はすぐにバレます。
例えば、営業なんかやったことのない人が前職でナンバーワン営業マンだったと言って転職してきて、まったく成果が出なければ「ほんとに?」となりますし、マーケティングをやったことのない人がマーケティング経験者として転職してきても何もできないわけです。
コンサルティング業界でも、もし戦略案件をやったことがない人が戦略プロジェクトをやったとしたら、一緒に働くとすぐにわかると思います。
バレなければ経歴を詐称してもいいのか?実力があれば問題ないのか?
経歴詐称してもバレなければ良い、或いは経歴詐称していても実力があれば良いといった議論があります。
バレなければそれは経歴を詐称していないというのと同じことと思われるかもしれませんが、いつかバレます。
そうすると、その人自身の評判はもちろんのこと、それまでその人が在籍していた企業のレピュテーションも貶めることにもなります。
では、経歴を詐称して会社に入社してきた人が、万が一優秀だったケースはどうでしょうか。
以前、ハーバード大学卒コンサルタントのコメンテーターが実際はハーバードを卒業しておらず、他の経歴もいろいろ詐称していたことをメディアで大きく取り上げられたことがありましたが、この人はそのへんのハーバード卒のコンサルタントよりも優秀なのでは?と思えるほどの適格なコメント力と英語力を有していました。
このようなケースにしても、「経歴詐称」と「実際の仕事ぶり」は分けて考える必要があるのではないでしょうか。
バレないほどの実力がある、或いはバレたとしても優秀だから他の人と同等に評価されるべき、というのは少し違うと思います。
仕事ぶりがどうあれ、経歴を詐称したという事実そのものに問題があるのであるということだと思います。
それが意味しているものは、本人の人間性の問題だったり、うそをついてしまう癖だったり虚栄心だったりします。
学歴や経歴に関係なく本人の実力で評価される社会になるべきだと思いますが、現状、社会はそうなっていないのです。
特に、コンサルティングというある意味コンサルタントという「人が商品」であるような業界においては、スーパーで野菜を買うときに産地などが偽装されていたら大問題になるように、経歴詐称自体が大きな問題でしょう。
産地偽装された野菜を「美味しいからいいじゃん」という人はとても限られているでしょう。
自身の経歴、実績に自信がないのであれば、経歴を詐称するのではなく、経歴、実績を自ら作らなければいけません。
大学で学び直したり、学歴不問、職歴不問、実力だけで評価しますというような理解のある会社で働いたり、或いは自身で事業をおこなって実績を積み上げていくしかありません。
企業は経歴を詐称する人に対してどうすべきか?
求職者の経歴は、採用後の職務、役職、地位、賃金などの処遇に関する判断材料になるので、学歴・職歴の詐称は一般的には懲戒解雇の理由となり得るといわれています。もちろん就業規則に経歴詐称について明記されているという前提です。
なので、経歴詐称が発覚すれば解雇すればいい、と考えるかもしれませんが、それで解雇するならそもそも雇わなければいいのでは?と思います。
経歴詐称が問題となるのは、人を雇う際にリファレンスチェックやバックグラウンドチェックをしない、或いは十分に行わない企業の怠慢でもあるのではないでしょうか。
海外だとリファレンスチェックやバックグラウンドチェックは当たり前で、自社で行うケースもありますが、大手企業はだいたいバックグラウンドチェック、リファレンスチェックを代行する専門の会社に依頼して行っています。
日本企業もちゃんとすればいいのに、と思います。
また、問題のある人材は転職市場から排除されるような動きもあります。
コンサルティングを含む外資系人材業界では、すぐに噂が回ったりするので、人材会社のブラックリストに載ってる人もちらほらいます。
人材紹介会社、ヘッドハンティング会社にとっては、問題のある人を企業に紹介するというのは会社の信用問題になり、二度と企業に使ってもらえなくなるリスクもありますから、人材のブラックリストを作成しているのです。
私の知り合いの大手人材紹介会社も経歴詐称をしていた人や問題を起こした人などのブラックリストを作っています。
バックグラウンドや実績確認の議論は、正社員の雇用に関わるものだけでなく、これから、フリーランスやアドバイザー、コンサルティングのような働き方がもっと増えていきますから、在籍した企業や一緒に働いた人など第三者による客観的な評価がわかり、雇用者がそれを確認できるようになることが求められています。
イギリスなどでは、既にブロックチェーン技術を使用したバックグラウンドチェックサービスなども出てきていますが、経歴の担保に加えて、今後は人材の客観的評価が可視化できるようなシステムも必要になってくると思います。
ちなみに、スタートアップ界隈でも経歴が怪しい人がたくさんいます。有名経営者の○○さんと一緒に仕事をしていた、シリコンバレーで起業してアメリカの企業に事業を売却した、シリコンバレーで投資家をしていた、これまでに○○社イグジットした…といった経歴の人がたくさんいますが、実際本当かどうかわからない、或いは調べたら実態がよくわからない会社というようなこともよくあります。
特に仮想通貨界隈はほとんど詐欺師みたいな人達が大勢いますので気を付けましょう。
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