本投稿では編入の際の合格率を少しでも高めるためのポイントを紹介する。
まず、前投稿で最適なカレッジを選定したが、メジャー(専攻)を選定する事も同等に重要な事であるので、専攻選びのポイントを紹介したい。
そして、アメリカの大学では入学の際に重視されるポイントとして、ボランティア等の課外活動(Extracurricular Activities)がある。
Common Applicationにも課外活動を記載する欄があり、またエッセイを書く上でもアピールポイントとして書き易いので課外活動はやっておいて損はない。
メジャーの選定
アメリカの大学では一般的に最初の2年程は一般教育を学び、3年目以降に専門教育を学んでいく。 つまり、大学入学時点でメジャーを決めている生徒はあまりいない。 アメリカの学生は大学入学後に専攻を決めていくのが一般的である。
既に選択したいメジャーを100%決めているという人でも参考としてデータを参照いただきたい。 競争の激しさを目の当たりにして再考するかもしれない。
ここでは合格率、GPAの観点で入学難度が高いもの・低ものをいくつかカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を例に挙げることとする。 UCLAを例として挙げているが、カリフォルニア大学(UC)全体で見ても人気のある/ない専攻の傾向は大きく変わらない(UCLAに出願している人の大半は他のUCにも出願している)と考えられるので、他のUCに出願する際もこれを参考にして欲しい。
前投稿でも少し触れたが、戦略として、人気の高いメジャーは競争率が高く、合格率が低いので、人気があまり高くなく、合格率の高いメジャーを選定するのがポイントである。 とは言いつつも、あまりにもマニアックなメジャーを選択しても勉強についていけなかったり、就職面接時にメジャーを選択した理由を聞かれて全く答えられなかったりするので、ある程度汎用性が高そうで、克つ合格率が高いメジャーを選択する事が必要である。そのため、出願者数・合格者数もリストに加える事にする。
メジャーの選定のための比較をするにあたり、以下3つの表を作成する。
入学難度”低”のリスト
・全専攻の平均合格率(38%)以上
・全専攻の合格者平均GPA(3.64)以下
・リストの中で比較的需要のありそうな専攻(43項目の出願者数平均値58以上)をハイライト
・基本的にこのリストに載っている専攻が狙い目の専攻である
入学難度”高”のリスト
・全専攻の平均合格率(38%)以下
・全専攻の合格者平均GPA(3.64)以上
・リストの中で人気の高い専攻(46項目の出願者数平均284人以上)をハイライト
・基本的にこのリストに載っている専攻は競争率が高いので避けたほうが良い
入学難度”中”のリスト
・上記以外の専攻をリストアップ
・合格率が低いか合格者平均GPAが高いかのどちらかなので、入学難度は中としている
・リストの中で人気の高い専攻(36項目の出願者数平均106人以上)をハイライト
・このリストの中で汎用性の高そうな専攻があればピックアップする
1番にリストされている” Undeclared - Social Sciences”という合格率100%の項目があるが、Undeclaredとは専攻が決まっていないという事であり、大学に入学させるべき魅力的な候補者であるが、編入の為の必修科目(Requirements)を満たしていないとので出願した専攻では不合格だが、大学自体には合格といった特殊な事例であるので無視してかまわない。
2番目の”German”(ドイツ語)は合格率80%で合格者平均GPAも3.51とそれほど高くない。 狙い目と言えばそうかもしれないが、出願者数が8人しかいないので、かなり人気の無い専攻ということになる。 日本人がアメリカに来てドイツ語を専攻する理由が非常に見つけにくいだろうし、編入後すぐにハイレベルなドイツ語のクラスを履修していくのは、ドイツ語のバックグラウンドが無いとかなりハードだろう。
3,4,5番目も同等の理由であまりオススメしない。
6番目の”Spanish”は合格率72%で合格者平均GPAも3.5、そして出願者数は69人となっており、上記に比べればかなりマシである。
こういった観点で考えると、緑でハイライトされている項目が狙い目である。
例えばその中でも出願者数Top5を抜き出すと以下のようになり、”History”(歴史), “Anthropology”(人類学), “Philosophy”(哲学), “Gender Studies”(ジェンダー研究), “Linguisics”(言語学)が狙い目の専攻という事になる。
入学難度”高”リストを見ると、上位6位までは合格率が0%となっているが、これは入学難度が高い為ではなく、単純に受験者数が少なすぎて、その少数の出願者が全員不合格となる事で0%という数値になっているので無視してかまわない。
一部の専攻はマニアックなものであるので、こちらも出願者数平均(284人)以上をハイライトしている。
基本的に、このリストに掲載されているものは編入難度が高いので出願はオススメしない。 特に以下の専攻はあきらめたほうがいいかもしれない。
” Film and Television”は出願者数も多く、人気のある専攻だが、3%しか合格者がいないので非常に門戸が狭い専攻である。
“Business Economics, Pre”は出願者が2000人と最も人気があり、合格者平均GPAが3.95もある。 しかも合格者が241人と多いので、この241人のほぼ全員が4に近いGPAを有していると考えると出願者のレベルが1番高いのはここかもしれない。
“Computer Science ”, “Communication Studies”, “Computer Science and Engineering”, “Economics, Pre”, “Electrical Engineering”等も出願者数が多く、合格者平均GPAも3.9前後なので辞めておくのが得策だろう。
こういった競争が非常に激しい専攻に編入するのは難しいので、違った方法で編入しようとする人もいる。
それは、編入時は人気のない合格しやすい専攻で入り、編入後に専攻を変えるというものだが、変更できる保障も無いし、変更できたとしても卒業が遅れてしまう等々のデメリットがあるのであまりオススメはしない。
続いて、入学難度”高”にも”低”にも入っていない”中”のリストを見てみよう。
この表の緑でハイライトしている箇所をみると”Statistics”(統計学), “Mathematics, Pre”(数学), “Physics ”(物理学), “English”(英語), “Sociology”(社会学)等世間一般でよく知られている専攻科目があり、GPAは少々高いが、これらはオススメである。
この中で、個人的に特にオススメしたいのが”Mathematics/Economics, Pre”(数学/経済学)である。
その理由といういのも、入学難度”高”リストにあるように、”Business Economics, Pre”(ビジネス経済学), “Economics, Pre”(経済学)といった経済系の専攻は最も競争率が高い人気の専攻であるが、 ”Mathematics/Economics, Pre”はこれらに比べて圧倒的に合格率が高く、GPAが低いのである。
逆に、下のほうの専攻(”Art”, “Theater”, “Design | Media Arts ”等)はGPAは低いが、合格枠が少ないので難関となっている事からオススメはできない。
サマリー
UCLAを例に取り、メジャーの選定基準として、合格率が高く、合格者平均GPAが低い、克つあまりマニアックではない(出願者数が多い)という観点でみて入学難度”低”, “中”, “高”とリストアップした。
全専攻の情報はリストを参照頂くとして、以下がオススメ/オススメしない専攻の簡易なまとめとなる。
課外活動
合格率を上げる為の施策として、もう1つ代表的なもので課外活動がある。
ただし、NACAC Admission Trends Survey, 2012によると、課外活動が出願時に重要と答えているスクールカウンセラーはわずか6.8%に過ぎないので、参考までに軽く触れる程度に留めておく。
課外活動とは、ざっくり言ってしまうと学校のクラス以外の活動全てだが、代表的なものは以下のようなものがある。
クラブ活動・サークル活動
・日本同様様々なクラブ・サークル(テニス、チェス、模擬裁判、映画、アニメ、語学等々多岐に渡る)があり、その中でも自身のキャリア、メジャーに関係のあるものを選択するのがポイントである。
・何か突出した才能があり、大きな大会で優勝したり、受賞経験があればかなりプラスに働くが、そういった人はごく一部だろう。 なので、クラブ・サークルで会長・副会長・広報担当等々重要なポジションについていて克つその活動内容が自身のキャリアにリンクしていればベストだろう。
ボランティア
・日本人にはあまり馴染みの無い文化かもしれないが、アメリカでは学生がボランティアに従事することがかなり一般的に行われている。 一重にボランティアと言っても様々な種類があるが、代表的なものだとHabitat for Humanity等のNGO活動やコミュニティの募金活動、動物保護シェルターでのボランティア活動等々がある。
・ボランティアを希望する団体に直接コンタクトを取る他、大学のインターナショナルオフィス等でも募集している事がある。
下記のようなウェブサイトでもボランティアを探す事ができるので、是非とも参照して頂きたい。
・Volunteer Match: 自身のスキルや住所に応じたボランティアのマッチングサイト
・Global Volunteer Network: 世界各国でのボランティア活動が探せるサイト
・IVPA - International Volunteer Programs Association: 国名やボランティア期間等でボランティアを検索できるサイト
学生団体活動
・アメリカには様々な人種が集う事から多用な学生団体が存在する。 留学生が主に加入する団体は日本人学生会を始めとした各国の学生団体だろう。 その理由というのもほとんどが各国からの留学生で構成されており、交流を目的としていることから参加するハードルが低い。
・アメリカ固有の学生団体といえば男子学生の友愛会フラタニティ、女子学生の友愛会ソロリティが存在する。 有名なフラタニティ・ソロリティともなれば、学生間の交流はもちろん、アメリカ全土にOBのネットワークを有し、就職時にも有利に働く事から現地の学生に非常に人気が高く、加入するのも競争率が高い。
・ちなみに、これら学生団体の代表的なものだと、Facebookを題材にした映画「ソーシャル・ネットワーク」に出てきた「ファイナルクラブ」というものが存在する。 「ファイナルクラブ」はハーバード大学の男子学生による秘密結社的な団体で、フラタニティ・ソロリティより排他的な性質をもっている。 このクラブは、何世代にもわたり政界や金融界の重要人物を輩出しており、入団には個人の能力、家柄や資産などの厳しい審査が行われる。
これらの他、インターンシップ・アルバイト等も行う人が多いが、前投稿にあったように、職歴が重要と答えたアドミッションカウンセラーはわずか%に過ぎないので、これはほぼ重要ではないと言っていいだろう。 ただし、アドミッション担当者に対して自身の興味を示す事はできるし、同じレベルの出願者と差別化できるかもしれない。
CollegeBoardによると、アドミッション担当者は課外活動から数字(GPA, 共通テスト点数等)に表れない出願者のパーソナルな部分を見て評価しており、良い成績をキープすると同時に課外活動を行う事で以下の事をアピールできるとしている。
・タイムマネジメント能力
・優先順位を付ける能力
・モチベーション
・責任感
・リーダーシップ
また、以下の点に留意して課外活動を選択することが重要であるとしている。
“広さ”よりも”深さ”を選ぶ
大学のアドミッション担当者は1つの活動に深く熱意を持って取り組んだ学生をより考慮する。
能力と興味を考慮して選ぶ
興味がある事と自身の能力・スキルがある事が同じである事が重要である。 例えば作文が得意な生徒が学校内の新聞制作に関わる等。
学業と課外活動とのバランス
多くの課外活動に重視すると学業に費やす時間が少なくなるし、疲弊してしまう。
仕事とボランティアに従事する
仕事やボランティアに従事する事で出願者の正確をアドミッション担当者にアピールする事ができる。 通常は良い成績をキープしながら仕事・ボランティアに従事することで入学に有利に働く。
インターンシップで自身の興味がある分野を見つける
職務経験は自身のキャリアを形成するのに役立つ。 座学で身につけた事を社会で応用できるし、大学の学費の足しにもなる。
知名度の無い出版物に掲載される事は意味がない
大学は実際の功績を評価するのであり、ただどこかのウェブサイトや出版物に名前が載るだけでは意味が無い。
まとめ
入学可否を決定的に左右するのは、成績(GPA)と共通テストの点数、そしてエッセイだろう。
課外活動はあくまでそれらに加えて自身の競争力を上げる為の付加的なものである。
もちろん、同レベル(同じ成績、同じテスト点数、同じエッセイの評価等)の出願者と比較すれば課外活動に従事している事で鼻の差で合格になる事はあるかもしれない。
スポーツの全国大会で上位にランクインしたり、数学オリンピックで好成績を残したり突出した成績を残している出願者は競争力が高い。 大学側としては大学出身者が成功し、著名になってくれる事が望ましいので、そういった可能性がある人を入学させたいと考える。 そういった点で既に過去に顕著な結果を残している出願者を優遇するのは当然である。 ただ、そういった出願者は少数派であるので、それ以外の人はどういった課外活動を選択すれば良いのだろうか。 一つ言える事は、長く1つの活動を続けている事が重要で、その活動が尚且つ自身のキャリア、及び専攻に関わっているものである事が望ましい。 なので、高校・あるいはカレッジでは色々な課外活動に手を出すよりも、1つの活動に絞り、熱意を持って深く関わったと言える経験を残す方が良いだろう。
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